金沢大学中国語学中国文学専門分野
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金沢大学で学ぶ

中国語学
中国文学

とは
 東アジア地域では悠久の昔から中国を発信地とする漢字文化圏が形成されてきた。中国はみずからの社会的文化的活動を蓄積してきたばかりでなく、近隣の朝鮮、日本やベトナムなどに対して政治社会制度をはじめ、思想、文学や芸術の諸方面にわたって、甚大な影響を及ぼしてきた。西洋が近代の黎明期に産みだした宗教改革と産業革命という大規模な社会変動の余波からはー時一線を画し、西洋列強と日本から経済的、軍事的蹂躙を受けたものの、現在の中国文化は多様な発展性を内包しつつあり、中国語の常用人口も十数億に達し、世界最大規模の言語文化圏が成立しつつある。 本専門分野では学生諸君が、現代を軸に過去三千年に遡って中国の言語、文化を充分に理解することによって、将来、学問領域ではもちろんのこと、中国に関わる有為の人材として国際社会で活躍してくれることを念願している。




〈教育カリキュラムの紹介〉

   本専門分野のカリキユラムは講義.演習・卒業論文の三種の授業科目から成る。

 <講義>はすべて中国の言語、文化についての体系的知識を伝達するために開講している。講義には概説や歴史、(テーマ別の)特殊講義の区別がある。語学に関しては、中国で独自に発達した韻書を基にした音韻学と文字学に関する伝統的語学、及び、西洋言語学の手法によって発達してきた中国語文法論と意味論などを紹介する。文学に関しては、古代から近代までの文学作品をひもときながら、文学史上における芸術作品としての評価のみならず、その時代毎の言語表現の特色や思想的特徴について幅広い知識を講義する。

 <演習>は本専門分野が教育上もっとも重視する授業科目である。本専門分野では中国語学・文学を研究するには、まず中国語の実践能力を高めねばならないという認識に基づき、中国人教師を中国の北京大学・北京師範大学から招聘している。中国人教師による開講科目は、2年生用の外国語トレーニングが2コマ、3〜4年生用の時事中国語、作文演習、中国語によるディベートが各1コマずつ、さらに中国の大学と同様の形態で講義する現代文学の講義が1コマである。これらはいわゆる外国語学部が用いるトレーニング方法であり、学生諸君の中国語学習意欲も高まっている。ここ数年、国費で大学間交流協定校の北京師範大学、國立臺湾師範大學、蘇州大学、大連大学へ長期留学する学生が続き、互換単位を取得して戻ってきているほか、3年時に多くの学生が自発的に北京へ短期留学している。日本人教員による語学演習・文学演習では、各教員が自らの研究領域について学生諸君の問題意識を啓発するべく、レポートや分担発表を通した個人指導を行い、「研究者養成」という大学の社会的使命の一つを果たす一端を担っている。

 <卒業論文>は人文学類必修科目である。3年生後期には卒業論文テーマのメドをつけ、4年生ではそのテーマに最も近い専門をもつ教員の演習に参加するよう、指導している。これまでの卒業論文テーマの選ばれ方はほぼ、現代文学3:古典文学1:現代・古典語学1の割合である。特に優秀であると評価した論文は当研究室発行の『金沢大学中国語学中国文学教室紀要』に掲載している。

 近年の卒業論文の題目をいくつか参考例としてあげておく。
 残雪・作品の変貌と魂の軌跡〜エロスとタナトスの間で〜
 妲己譚〜妲己は九尾狐の夢をみるか−あるいは妲己像の形成と物語の成立〜
 同じ程度を表す2つの比較構文
 漢詩教育と古詩詞教育の比較−在り方とその価値を探る−

 

〈卒業後の進路〉 

 本専門分野の修了者・在籍者総数は、1982年度の開設以来2003年度で、100名を超えた。近年進学生が増えるに伴い、卒業後の進路も多様化し、現在のところでは、大学院進学者がもっとも多く23名(金沢大11名、名古屋大4名、東北大3名、大阪市大2名、大阪・京都・北海道・筑波・神戸・東京・お茶の水女子大各1名)である。以下、公務員16名、出版情報関係12名、銀行商事メーカー等12名、教員12名と続く。

また、1998年度から中国語教員免許状が取得できるようになった。


学生から

 「新しく何かを学びたい。」そんな思いから中国語を志してはや三年。目下、少しでもネイティブの発音に近づけるよう努力の日々です。コースでは中国人の先生によって語学だけでなく、文化、政治、経済など実際の中国社会の様子も知ることができ、生きた授業の中、楽しい中国語を学んでいます。また、中国語の資格検定を目指して授業後に学生同士で集まったりと、皆、それぞれ積極的に頑張っています。長期休みを利用して、中国に旅行や短期留学する人も多く、未知の世界に直にふれる瞬間の喜びは私にとっても、非常に貴重な経験となりました。
 研究室には、古典に魅せられた人、現代文学に関心をよせる人、と様々な人が集い、まさに興味のるつぼといった感じです。院生の方も顔を出されたりと、幅広い話が飛び交いアットホームな雰囲気の中、毎日とても賑やかです。