楊家将演義
北宋の武将楊業とその子孫たちの活躍と悲劇を描いた小説。宋代から語り物の世界ではメジャーだったようだが、小説化されたのは比較的遅く、明代万暦年間に作られたとおぼしい『楊家将演義』と『北宋志伝』がある。後者の方がより通俗的で、後世、芝居の題材に取り上げられる物語をより多く含むが、いずれも小説としての完成度が低く、我が国にも現代語訳はないため中国文学ファンにもほとんど認知されていないであろう。しかし、本家中国では小説よりも京劇などの芝居を通じて広く知られている。数年前、中国山西電視台が作った連続ドラマ『楊家将』は日本でも一部地域で深夜放映されたと聞くが、降伏を潔しとしない楊業が李陵の碑に頭をぶつけて自死する場面は感涙もの。