隋唐史伝


 正しくは『隋唐両朝史伝』。超マイナーな明代成立の小説で、中国人でも99.9%は聞いたこともないであろう。しかし、マイナーだからと言って侮るなかれ。その後の『説唐全伝』と『隋唐演義』につながっていく、隋唐歴史小説の系譜の中で重要な位置を占める作品である。隋唐の小説は三国志などと違って決定版がなく、上記の小説以外にもたくさんの作品が作られている。我が国では、江戸時代に『唐書志伝通俗演義』が翻訳されたがあまりに歴史に忠実すぎるためヒットしなかった。最近では、田中芳樹が『隋唐演義』をリライトしたものがよく読まれている。個人的には『説唐全伝』がおもしろいと思いますが、ちょっと荒唐無稽すぎるかな。